導入事例


東和印刷株式会社

  • 導入製品
    ・中綴じ製本システム StitchLiner MarkIII

お客様の一つひとつの「そのチャレンジ」に
誠心誠意向き合い「TOWA だからこそのベストな答え」でお応えする

 モノづくり・ラグビーの町として知られる東大阪市に本社を置く東和印刷株式会社様は、1983年に大阪市東成区で創業された総合印刷会社様です。自動化や、ワークフロー構築にいち早く取り組まれていることから同業他社の工場見学に対応されるなど業界の発展にも貢献されています。2019年5月に代表取締役社長に就任された髙本様にお話をうかがいました。

B2輪転の仕事が激減することを見越して

 現在、セールスプロモーション事業、印刷事業、デジタルメディア事業の三つの中核事業に、製品開発事業、貿易事業、コンサルティング事業を加えた六つの事業を展開される同社のスタートは、1983年に大阪市東成区で枚葉印刷機による包装紙の印刷から始まりました。創業4年後の1987年には、商業印刷全般に対応するために拠点を東大阪市に移して、オフセット輪転印刷機を導入し、ビジネスを拡大されてきました。
 そして2018年12月、東和印刷様は、大きな決断を下されました。日本の経済成長にあわせて伸びてきたチラシ印刷の需要の変化にあわせてB2オフセット輪転印刷機2台を同時に廃棄されたのです。枚葉印刷を主体とした業務へ転換を図ることに対して社員の皆さんは、不安視されていたそうですが、これを機に全ての受注内容や、業務プロセスを見直すことで適正受注金額を再定義し、売上重視から利益重視の体質に変革することに成功されました。社員の皆さんへの自信にもつながったそうです。オフセット輪転印刷機の廃棄で、2019年の売上前年比は、1割程下がったそうですが、利益率は約4倍を超え半期を迎えられた今年度の売上は、前年比2割下がったものの、利益率は、6倍を超えているそうで社員の皆さんのコスト意識への高まりが強まっているようです。

StitchLiner MarkIII 導入効果

 業務プロセスの見直しの際には、製本工程の見直しも行われました。当時使用されていた中綴じ製本機は、鞍掛け式で折り工程が必要となります。受注のタイミングで中綴じの仕事に折機を使用して、観音折やDM折などの利益率の高い折りの仕事を、外注に依頼することがありました。そこで、中綴じ作業の内製化を目指す目的で、ペラ丁合中綴機StitchLiner MarkIIIを2019年3月にご導入いただきました。人員配置の見直しや、収益の改善につながり加工部門の売上は、前年比3倍の効果を生み出すことになったということです。
 StitchLiner Mark IIIの導入検討時のポイントは、鞍掛方式とペラ丁合方式の品質の違いでしたが、検証を行っていただいた結果、品質には問題ないというご判断をいただき導入を決定していただきました。稼働率の拡大にあわせて元B2オフセット輪転印刷機のオペレーターの方が、新たにStitchLiner MarkIIIのオペレーターとして活躍されています。実運用をされての感想をうかがったところ、「厳密に言えば、ペラ丁合と折り出しの差はありますが、お客様の品質基準は十分に満たしています。導入から1年以上が経過してフル稼働をしている訳ですから満足です。」という感想をいただき安心しています。また、ホリゾンに対するご意見をうかがったところ、「このまま製本機の自動化と、プリプレス、プレスメーカーとの連携を進めてください。」との激励の言葉をいただきました。

生産管理システムは印刷会社の要

 「管理会計と財務会計は一致して当然、利益がリアルタイムに見えないことは経営上のリスクです。」と、経営の見える化を行われている同社では、生産管理システムの運用が重要とされており、StitchLiner Mark IIIの導入とあわせて、ホリゾン製本ワークフローシステムpXnetもご導入いただきました。
 pXnetは、中綴じ製本業務全体のスケジュール管理や、ジョブごとの稼働時間を集計する製本工程の生産管理システムです。中綴じ製本機の生産管理が行えることや、JDFワークフローが構築できることを高くご評価いただきました。
 自動化や、ワークフローをテーマに、講演をされることもある髙本社長に自動化のポイントについてご意見をうかがいました。「生産管理を行う上で、作業標準を決めることが重要です。標準化ができなければ自動化はできません。当社では自社の手法に機械を合わせるのではなく、機械の仕様に合わせた工程で実運用を行っています。できることが同じならカスタマイズを行うよりも近道ですし、コストも安くつきます。」
 技術は、皆でシェアしていくべきというお考えで、印刷会社様からの工場見学依頼に対応されています。また、「中小企業でも限られた資本の中で、自分たちができることを研究するべきです。」という方針で、さらなる自動化に向けてロボットアームの基礎研究等にも取り組まれています。

利益を見える化することの重要さ

 また、同社では、コスト意識を養うためのユニークな試みとして管理職全員が参加するマネージメントゲームを実施されています。管理職の各々が、ボードゲーム上で経営者となり企業を経営するというゲームです。ゲームの中とはいえ決算処理や、倒産を体験することで従業員という枠から抜け出して、経営者視点で業務に臨むようになったという効果が上がっているとのこと。「毎月の損益計算書はトピックスにして社員全員で共有しています。利益を見える化することで分配を明確にしました。経常利益の半分は社員へ還元されるため、モチベーションの向上につながっています。」
 変革を恐れずに、率先して新しいことにチャレンジをされている髙本社長の姿が、社員の皆さんのモチベーション向上につながっているように思います。今後も、変革に挑戦されていく東和印刷株式会社様の益々のご発展をお祈りいたします。